今回は京セラの名誉会長である、稲盛和夫さんによって書かれた『生き方―人間として一番大切なこと』をご紹介します。
本書の結論を先に言ってしまうと、「人間として正しいかどうかを意識して、毎日をど真剣に生きましょう」ということです。
たとえば私たちが生きている意味、仕事への向き合い方、そして人としてあるべき姿とは何なのか、稲盛さんの体験談を下に書かれています。
本書を読めば、生きていく上で必要な「人生の指針」がわかるはずです。
それでは、さっそく本文へと進みましょう。
もくじ
『生き方』(稲盛和夫)の要約まとめ【5分でわかる解説】
『生き方』を5分で理解するために、5つに要約しました。
『生き方』の要約まとめ5つ
①:魂を磨いていくことがこの世を生きる意味
②:単純な原理原則が揺るぎない指針になる
③:「考え方」を変えれば人生は180度変わる
④:ただいま、このときを必死懸命に生きる
⑤:自分に打ち勝ち前に進め、人生は大きく変わる
1つずつ分かりやすく、解説していきます。
要約①:魂を磨いていくことがこの世を生きる意味
まずは「私たちが生きている意味や、人生の目的は何なのか?」というお話をご紹介します。
結論は、下記のとおりです。
- 生きている意味:心を高めるため
- 人生の目的 :魂を磨くこと
稲盛さんによると、上記の2つが私たちの生きる意味や人生の目的だそうです。
しかし、これだけ聞いてもあまりしっくりこないですよね。
簡単に言うと「生まれたときよりも少しでもましな人間になろう!」と努力することです。
私たちの生きる意味・人生の目的=生まれたときよりも少しでもましな人間になろうと努力すること
このような理解ができていればOKです。
では、なぜ稲盛さんはそのように考えているのでしょうか?
稲盛さんによると、私たちがあの世へ行くときたった一つだけ滅びないものがあるとすれば、それは「魂」だそうです。
しかし、私たちが現世でしていることは何でしょうか?欲を満たすための活動じゃないですか?
たとえば、本書で書かれていた欲は下記の3つです。
- 財産
- 地位
- 名誉
多くの方はこれらの欲を満たそうと、今を生きています。
しかし、現世でこれらを手にしたとしても、魂以外なにもあの世へ持っていけません。
なので稲盛さんは生きている間に心を高め、魂を磨くことが大切であると話しています。
あの世へ行くときには、誰も財産も地位も名誉も持っていけません。なので、唯一滅びないであろう魂を磨くことが大切
こんな感じでイメージしてもらえるとOKです。
しかし「心を高め、魂を磨くこと」が大切でも、具体的に何をしたらいいのでしょうか?
稲盛さんは、本書でこのように説いています。
昨日よりましな今日であろう、今日よりよき明日であろうと、日々誠実に務める
『生き方』プロローグ p16より引用
誰にでも、辛いことや苦しいことがあります。
「何で自分だけがこんな苦労をしているのか?」
そんな風に、神様を恨みたくなることもあるでしょう。
しかしその困難こそが魂を磨くための良い機会になると、稲盛さんは言っています。
試練を「機会」としてとらえることができる人 ー そういう人こそ、限られた人生をほんとうに自分のものとして生きていける
『生き方』プロローグ p16より引用
嫌なことがあったら「これは魂を磨くための良い機会だ」と考えて、前向きに生きることが大切ですね。
私たちの生きる意味・人生の目的は、生まれたときよりも少しでもましな人間になろうと努力すること。あの世へ行くときは何一つ持っていけないので、魂を磨くこと、つまり、昨日より今日、今日よりよき明日であろうと日々誠実に務めることが大切。
要約②:単純な原理原則が揺るぎない指針になる
続いては「人生で迷ったとき、指針となる哲学とは何なのか?」というお話をご紹介します。
結論、本書に書かれている哲学とは、下記のとおりです。
「人として正しいかどうか」
人生で迷ったとき、稲盛さんは「人として正しいかどうか」という哲学に基づくべきだと言っています。
なぜなら人として間違ったことをしていると、うまくいくことは1つもないからです。
「哲学」と聞くと、少しむずかしいイメージがあるかと思います。
何かで迷ったときは、人として正しいことをする
このようなイメージで大丈夫です。
では「人として正しいこと」とは、具体的に何なのでしょうか?
本書で稲盛さんが言っていた「人として正しいこと」とは、下記の5つです。
- 嘘をついてはいけない
- 人に迷惑をかけてはいけない
- 正直であれ
- 欲張ってはならない
- 自分のことばかり考えてはならない
誰しも大人になるにつれて、これらのことを忘れてしまいがちです。
しかし上記5つのことは、誰もが小学校の道徳の授業で習ったと思います。
どんなに歳を重ねても、「人として正しいかどうか」という哲学に基づいて行動することが大切ということです。
加えて本書の中で「哲学」は、下記の方程式で表されています。
人格=性格+哲学
つまり性格と哲学が合わさって、私たちの人格はつくられているということですね。
稲盛さんによると、性格と哲学は下記のように定義されています。
- 性格:先天性のもので、人間が生まれながらにして持っている
- 哲学:後天性のもので、その後の人生を歩む過程で学び身につけていく
性格は生まれたときにはすでに決まっているので、変えることはむずかしいですよね。
性格に哲学をつけ加えていくことによって、私たちの人格は磨かれていきます。
つまり、どのような哲学に基づいて人生を歩むかによって、人格が決まるということです。
本書では哲学と人格を「木」を使って、わかりやすく説明しています。
- 哲学:根っこ
- 人格:幹
哲学という根っこをしっかりと張らなければ、人格という幹を太くまっすぐに成長させることはできません。
つまり、性格が悪い人でも「人として正しいかどうか」という哲学を持って生きることで、人格は磨かれていくということです。
どんなに歳を重ねても「人として正しいかどうか」という哲学に基づいて行動することが大切。性格に哲学をつけ加えていくことによって、人格は磨かれていく。
要約③:「考え方」を変えれば人生は180度変わる
続いては考えるときに大切な「プラスの方向の考え方とは何なのか?」というお話をご紹介します。
結論、プラスの方向の考え方とは「良い心」のことです。
本書に書かれている「良い心」とは、下記の5つになります。
- 常に前向きで建設的である
- 感謝の心をもち、みんなと一緒に歩もうという協調性を有している
- 明るく肯定的であり、善意に満ち、思いやりがあり、やさしい心を持っている
- 努力を惜しまない
- 足るを知り、利己的でなく、強欲ではないこと
イメージでいうと、「人として正しいこと」をするときに必要な心構えみたいな感じですね。
稲盛さんによると、プラスの方向の考え方である「良い心」をもつことで、人生は180度変わるそうです。
ではプラスの方向の考え方は、私たちの人生にどのような影響を与えるのでしょうか?
本書では人生や仕事の成果を方程式で表し、プラスの方向の考え方の大切さについて書かれていました。
本書によると、人生や仕事の成果は下記3つの要素によって成り立っています。
- 考え方
- 熱意
- 能力
3つの要素のかけ算によって、下記のように人生や仕事の成果を表すことができるそうです。
人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力
たとえば、能力と熱意に0点から10点まで点数がつけられるとします。下記のような感じです。
- 能力:8
- 熱意:2
能力が8点あっても熱意が2点しかないので、8×2で点数は16点にしかなりません。
最高点が100点なので、16点は低い点数だと分かると思います。
では、この場合はどうでしょうか?
- 能力:3
- 熱意:9
点数は27点になり、先ほどの16点より高いですよね。
つまり、能力が乏しくても熱意があれば、能力に恵まれた人より良い結果を得られるということです。
しかし、稲盛さんは3つの要素の中でも「考え方」が最も大切だと言っています。
なぜなら「考え方」にはマイナスポイントがあるからです。
能力と熱意には、0点から10点まで点数がつけられましたよね。しかし「考え方」は10点から-10点まであり、能力と熱意に比べて点数の幅が広くなっています。
能力と熱意に恵まれながらも考え方の方向が間違っていると、それだけでネガティブな成果を招いてしまう
『生き方』プロローグ p26より引用
考え方がマイナスなら能力と熱意の点数がどんなに高くても、かけ算をするとマイナスにしかなりません。
なので「良い心」をもちプラスの方向で考えることが、能力や熱意よりも大切になります。
「良い心」をもっているかどうかで考え方が変わり、人生・仕事の結果も180度変わるということです。
能力に恵まれていなくても、誰にも負けない熱量と良い心をもって前向きに考えることができれば、人生・仕事の結果も180度変わる
要約④:ただいま、このときを必死懸命に生きる
続いては「目標を掲げることよりも大切なことは何なのか?」というお話をご紹介します。
結論、今日という1日を一生懸命に生きることです。高い目標を掲げたり将来について考えることよりも、今日を必死に生きることが大切になります。
なぜなら今日を生きることなしに、明日はやってこないからです。
たしかに明日も分からないのに5年先、10年先のことは見通せないですよね。
これをいうと、驚かれる方が少なくないですが、私は長期の経営計画というものを立てたことがありません
『生き方』第二章 p103より引用
実は稲盛さんは、長期の経営計画を立てたことがないみたいです。
ここからは私の解釈ですが、目標に向かって努力するとき、下記の2つ考え方があると思います。
- 加算思考:壮大な目標を掲げたら、今できることにひたすら努力する
- 逆算思考:目標から逆算して、今やらないといけないことを洗い出す
たとえば稲盛さんの考え方は、加算思考だと思います。毎日ベストを尽くして、積み上げていくイメージですね。
しかし、一般的に多くの成功者は、逆算思考で考えている傾向があります。
小学校の夏休みの宿題でたとえると、下記のような感じです。
- 夏休みまで残り30日ある。算数の宿題も残り30ページ残っている。
- ということは、毎日2ページずつやれば、15日で宿題はおわりそう。
- 1ページあたり30分かかるから、2ページやると1時間はかかりそう。
- ということは、毎日1時間だけ算数の宿題をしたら大丈夫だとわかる。
- ということは、今日から1時間早い朝7時に起きて、宿題に取り組もう。
たしかに上記のように逆算思考で考えることは大切ですが、計画が簡単にうまくいくことはありません。
つまり「大きな目標を掲げても未来は誰にもわからないので、日々の地味な仕事に真剣に向き合い、実績を積み重ねていくことが大切」ということを稲盛さんは言いたかったと思います。
逆算思考で目標から逆算して今やらないといけないことを洗い出したら、加算思考で今日という1日を「ど真剣」に、一生懸命生きることが大切です。
大きな目標を掲げたら、今日という1日を一生懸命に生きる。今日を生き抜けば、自然と明日が見えてくる。その繰り返しで目標達成まで近づけるので、今日という1日を「ど真剣」に、一生懸命生きることが何より大切。
要約⑤:自分に打ち勝ち前に進め、人生は大きく変わる
最後は「ほんとうの仕事との向き合い方とは何なのか?」というお話をご紹介します。
結論から言うと「ほんとうの仕事との向き合い方」とは、どんな仕事に対しても一心不乱に打ち込むことです。
なぜなら、仕事の苦しみから喜びが生まれるからですね。
もしかしたら「自分の仕事がどうしても好きになれません...」という方も、中にはいますよね。
そんな方に対してインフルエンサーは、
- 自分の仕事が嫌なら転職しましょう
- 嫌なことから逃げて私は成功しました
などのようなことを言っています。
しかし、本書から稲盛さんの言葉を引用すると、下記のとおりです。
最初は多少無理をしてでもいいから、まず、「自分はすばらしい仕事をしているのだ」「なんと恵まれた職業についているのだろう」と心の中でくり返し自分にいい聞かせてみる。すると、仕事に対する見方もおのずと変わってくる
『生き方』第二章 p109より引用
稲盛さんによると「好き」と「打ち込む」には、下記のような関係があるそうです。
- この仕事は好き
- 仕事に打ち込んでみる
=だから、仕事に打ち込める
=すると、仕事が好きになってくる
「好きこそものの上手なれ」と、1度は聞いたことがあると思います。誰でも好きなことには熱心になるし、工夫を凝らすので上達が早いという意味ですよね。
しかし、どんな仕事に対しても一心不乱に打ち込むと、愛着がわいてきて、気がつけば仕事を好きになっているということも起こるそうです。
たとえば、本章では下記のように書かれています。
- どんな仕事でも、一生懸命打ち込む
- すると、いい結果が生まれてくる
- そこからおもしろさが生まれる
- おもしろくなれば、さらに意欲がわく
- そして、またいい結果を生む
「好循環のうちに、いつしか仕事を好きになっている自分に気づく」というのが、稲盛さんの考えです。
つまり、どんな仕事でもまずは一生懸命に働くことが大切で、ベストを尽くす前に嫌な仕事から逃げることばかり考えていると、転職してもうまくいかないということですね。
どんな仕事に対しても一心不乱に打ち込むことで、結果が生まれ仕事に愛着が湧き、いつしか仕事を好きになっている自分に気づく。どんな仕事であろうと、まずは一生懸命に働くことが大切。
『生き方』を読むべき人はこんな人
本書を読むべき人は、下記のような人です。
- ビジネスで成功したい人
- 今の仕事に対して不満がある人
- 努力してもなかなか結果が出ない人
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なぜなら『生き方』に書かれていることは、今を生きる私たちに足りていない考え方だからです。
テクノロジーが発展し、日本人は便利な暮らしができるようになりました。しかし、日本が豊かになればなるほど、日本人の心は貧しくなるだけです。
現代を生きる日本人は、「人間として1番大切なこと」を見失ってしまいがちになります。
どんなに年を重ねても、ぜひ本書を手に取って学んでみてください。
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