「マレーシア人は宗教の関係で、豚肉とお酒は口にしちゃダメらしいよ」
と聞くことがありますが、実際のところ、イスラム教で豚肉とお酒がタブーなのはイスラム教徒(ムスリム)のみ。
今回は、イスラム教で豚肉とお酒がタブーとされている理由や、マレーシアのハラル事情についてご紹介していきます。
ハラルとはイスラムの教えで、「許されている」という意味のアラビア語。
簡単に言うと、イスラム教徒が行ってよいことや食べてもよい食材・料理のことを指します。
ちなみに、世界のイスラム教徒の人口は右肩上がりで伸びています。
米調査機関ピュー・リサーチ・センターは、2050年にはイスラム教徒の人口が27億6千万人(29.7%)になると予想。
マレーシアだけでなく、日本でもイスラム教やハラルについての理解が必須になりそうですよね。
ということで、本記事ではハラルについて全く知らない方でも理解できるよう、ポイントを絞ってわかりやすくご紹介していきます。
マレーシアのハラルとは?【ノンハラルも解説】
まずは、ハラルとノンハラルのちがいについて、簡単にご紹介していきます。
ハラルとは「許されている」という意味
冒頭でもお伝えした通り、「ハラル」とはイスラムの教えで「許されている」という意味のアラビア語です。
反対に「ノンハラル」とは「禁じられている」という意味。
たとえばイスラム教では豚肉とお酒はノンハラルとされているので、イスラム教徒はこれらを食べることができません。
ちなみに、ハラルとノンハラルにはいろんな言い方があって、
- ハラル:ハラール
- ノンハラル:ハラーム・ハラム・ノンハラール
といった感じで使われることもあります。
ハラルは宗教と健康の2つの意味がある
ハラルには、宗教と健康の面で2つの意味があります。
- 宗教面:イスラム法で合法である
- 健康面:健康・清潔・安全である
ハラルはイスラム法で合法とされているだけでなく、健康にもよいとされているんです。
ちなみに、ハラルは食品だけでなく、
- 化粧品
- 約束
- 仕事
などもハラルに含まれています。
マレーシアでハラルが普及している理由
どうしてマレーシアでハラルが普及しているのかといえば、マレーシアには多くのイスラム教徒がいるからですね。
実際に、マレーシアにおける宗教の割合はこちらの通り。
- イスラム教徒:約70%
- 仏教徒:約20%
- ヒンズー教徒:約10%
国民の約7割がイスラム教徒なので、マレーシアではハラルが普及しています。
ハラル食品とノンハラル食品の違いと見分け方
ハラル食品とノンハラル食品のちがいと見分け方について見ていきましょう。
マレーシアでノンハラルとされている物
マレーシアでノンハラルとされている食品は、下記の通りです。
- 豚肉や豚の成分が含まれるもの
- 飲用や調味料に含まれるアルコール
- イスラム法に則って処理されていない食肉
他にもたくさんありますが、上記3つを抑えておけばOK。
もう少しだけ、深掘りしていきます。
豚肉や豚の成分が含まれるもの
マレーシアで豚肉や豚の成分が含まれるものは、ノンハラルとされています。
イスラムの教えで豚は、
- 不浄な生き物
- 感染症の恐れがある
- 雑食で不衛生な環境にいる
と考えられているからです。
実際、ハラルの基準は厳しく決められていて、イスラム教徒はこのような料理も口にできません。
- 豚肉にほんの少しでも触れてしまったもの
- 目に見えなくても豚のエキスを含んだもの
- トンカツを揚げた同じ油で揚げられたもの
上記のように、少しでも豚肉を含むとノンハラル食品と扱われます。
飲用や調味料に含まれるアルコール
飲用や調味料に含まれるアルコールも、ノンハラルになります。
イスラムの教えではお酒を飲むと、
- 悪事につながる
- 礼拝の妨げになる
- お祈りを忘れてしまう
と考えられているからです。
たとえば使う食材がハラルであったとしても、料理酒やみりんを入れるとハラルではなくなってしまいます。
豚肉と同じように、イスラム教徒はお酒も口にすることができません。
イスラム法に則って処理されていない食肉
豚肉とお酒以外に、イスラム法に則って処理されていない食肉もノンハラルです。
イスラム教徒は鶏肉は食べれますが、イスラムの教えに則った方法で加工や調理がされなければ、鶏肉もノンハラルとみなされます。
そのため宗教的に鶏肉はOKでも、ハラルじゃないので食べられなくなってしまうんです。
マレーシアでハラルとされている食べ物
マレーシアでハラルとされている食品は、基本的にノンハラル以外の食品と考えてOK。
そのため、何がノンハラルなのか知っておくことが大切です。
ちなみに、マレーシアには「ナシカンダー」というハラルに対応している人気ローカルレストランがあります。
簡単なマレー語を使って注文する手順もご紹介しているので、気になる方はチェックしてみてください。
>> 【簡単】ナシカンダーでマレー語を使って注文する手順を解説【実例公開】
ハラル・ノンハラル製品を見分ける方法
ハラル・ノンハラル製品を見分けるときに必要なのが、ハラルマークです。
ハラルマークには、こちらの2つの意味があります。
- 豚やアルコールなどの成分が一切含まれていない
- イスラム法に則った基準を完全にクリアしている
そのため、イスラム教徒は自分で成分を調べなくても、ハラルマークを頼りにハラル製品を買うことができます。
マレーシアにおける3つのハラル事情を解説する
マレーシアにおけるハラル事情は、こちらの3つ。
マレーシアにおけるハラル事情3つ
その①:ハラル・ノンハラル製品は分けて売られる
その②:ムスリム以外の人種もハラル食品を食べる
その③:マレーシアで売られている酒は値段が高い
その①:ハラル・ノンハラル製品は分けて売られる
マレーシアでは製品にハラルマークが貼られていて、ハラル製品とノンハラル製品の区別ができるようにして売られています。
イスラム教徒が誤って、ノンハラル製品を買ってしまわないようにするためですね。
豚肉やアルコールなどのノンハラル製品の売り場は隔離されていて、レジも別に設けられています。
そのためマレーシアではどのスーパーに行っても、基本的にハラル専用のレジが設けられているんです。
その②:ムスリム以外の人種もハラル食品を食べる
マレーシアにはイスラム教徒の他に仏教徒やヒンズー教徒もいますが、彼らもハラル食品を食べます。
理由はシンプルで、マレーシアで売られている食品のほとんどがハラル商品だからです。
ハラル食品=イスラム教徒専用という訳ではなく、日本人でも食べてOK。
その③:マレーシアで売られている酒は値段が高い
マレーシアで売られているお酒は、現地の物価に対して値段が高いです。
イスラム教徒がお酒を飲まないので、酒税が高く設定されているんです。
たとえばマレーシアで一般的に飲まれているお酒と、現地で売られている日本のお酒を比べるとこんな感じ。
- タイガー:320ml RM6.55 (約170円)
- アサヒスーパードライ:320ml RM7.9 (約205円)
マレーシアで売られているコーラが1本RM1.5(約40円)であることを考えると、現地のお酒の値段は高いですよね。
まとめ:ハラルを知ってイスラム教を尊重しよう!
今回は、イスラム教で豚肉とお酒がタブーとされている理由や、マレーシアのハラル事情についてご紹介してきました。
記事内容をまとめてみます。
- ハラルとはイスラム教で「許されている」という意味
- 反対にノンハラルとは「禁じられている」という意味
- イスラム教では豚肉やお酒がノンハラルとされている
- イスラム教徒は豚やお酒を含んだものを一切食べない
- ハラルマークを参考にハラル製品かどうかを見分ける
マレーシアでは宗教に関して覚えることがたくさんありますが、1つずつ慣れていけばOK。
マレーシアで気をつけるべき宗教的なマナーについては、こちらの記事にてご紹介しています。